いつも死と隣り合わせの生活に、少なからず不安を抱いてしまったおれは・・・
この船に乗る資格はあるのだろうか?
ただのコック・・・戦闘に関してもルフィやゾロのように強いとは言えない
コックの自分は手が命・・・だからケンカをするのにも足を使った
まぁこれはジジィの影響もあるが・・・
そんなコックが手に使い物にならないくらいの怪我を負った
時間がたてば治る・・・だが・・・その間おれは・・・用無し
皆は死と隣り合わせで・・・何の役にも立たないおれが邪魔に決まっている
降りろ、そう言われてしまえばそうせざるをえないだろう
ベッドの中でそんなことを考えながらただただ時間だけが過ぎていった
そんな時、ドアの方から人の気配を感じてサンジは頭だけをドアの方へ向けた。
そこには壁にもたれかかりこっちをじっと見ているゾロがいた。
「・・・お前、この船に乗ってる意味わかってんのか?」
いつもより低いトーンでそうサンジに言い、すぐに部屋を出て行った・・・。
一方的とも言えるような感じでゾロに中てられたサンジは瞳を天井に向けていた。
しばらくして、・・・声もなくサンジの瞳から涙が流れ落ちた。
サンジとゾロはこれでも体の関係もある恋人の付き合いをしていた
最初はただの体だけの関係で、それに誘ったのはサンジ
そしていつのまにか二人は想い合うようになっていた
でも最近、いつものケンカでお互いを遠ざけていた
そんな時にサンジの手の怪我・・・
もうどうすることも出来ない
サンジはそう思って、一人・・・船を降りて行った・・・。
「サンジ、包帯を替える時間だぞー・・・っていねェ!!??」
最初にサンジの失踪に気づいたのはチョッパーだった。
そして、チョッパーが皆にそのことを伝えるのにそう時間はかからなかった。
ナミを中心として食堂で話し合いが開かれた。
「どうして急に・・・、確かに精神が不安定だったのは知ってたけど、まさか船を・・・」
頭を抱えてナミはサンジが何処に行ったのか考えている。
ウソップとチョッパーも手伝おうとしているが、ただ騒いでいるだけだった。
ゾロはボーッと椅子に座って何をしようともしない。
そんなゾロを見て今までナミの隣で静かにしていたルフィは部屋中に聞こえるくらいの声の大きさで独り言を言った。
「サンジはこの船に必要な奴だ、それに一回乗った船を船長の許可なしに勝手に降りることは許さん!」
バッチリとゾロの方を見てそう言った。
「はいはい、船長・・・サンジを連れ戻してくればいいんだろ・・・ったく・・・」
ゾロも観念したのか席をたち、それ以上何も言わずに部屋を出ていった。
部屋に残された仲間達はただ呆然としていた。
ルフィだけが満足気に笑みを漏らして、またナミの隣に陣取りスースーと寝息を立て始めた。
「なっなんだったの?・・・一体?」
ナミとウソップとチョッパーは目を合わせて、さぁ??と首を傾げるしかなかった・・・。
「っていうか、ゾロの方向音痴で・・・サンジくんを探せるのかしら・・・」
「わかんねェけど、たぶん・・・今日中には帰って来ねェだろうな・・・」
「おれもそう思う・・・」
3人の予想は見事的中・・・。ゾロとサンジは日が落ちても船に帰っては来なかった。
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