夢をみた・・・。
ふわふわ自分は宙に浮いていて、下を見るとおれが居る。
いつものように食事の用意をしている感じなんだけど、
そこはメリー号のキッチンではないし、ましてバラティエでもなかった。
自分はどこでだれの為の料理を作っているのかと思った瞬間
"おれ"が嬉しそうに笑いながら後を振り返って何かを言っている。
振り返ったその先には人影が見えた…しかし逆光のせいでその相手が誰だか分からない。
誰だろう?それに、何だろう?全く聞こえない。…そういえばさっきからこの空間には音が無かった。
あぁ…、変な夢だなぁ・・・早く覚めればいいのに・・・。
できれば、もしできれば・・・目が覚めたらアイツとケンカする前に戻ってればいいのに。
そんな到底無理なことを考えてしまう自分にすこし虚しさを感じる。
おればっかり…アイツのことを想ってるじゃん。
ハハハ・・・恋なんて…愛なんて、しなければよかった・・・。
また涙が頬を伝う…、なんだ夢の中でも泣けるんだ・・・
…ィ……
あっ何か聞こえる、誰かが呼んでる…目覚めなきゃ……。
「…おい、アンタ…目ェ覚めたか?」
重いまぶたをゆっくり開け…差し込んでくる明かりにまぶしさを感じつつも
呼びかけてくれる声のする方へ顔を向けた。
「よかった…目覚めなかったらどうしようかと思ったぜ」
「・・・ゾ・・ロ・・?」
まぶしくて顔が見えないがその声の主はゾロだと思いそう呼びかけた。
「あっ…おい、しっかりしろよ!」
ようやく目も慣れてくると、おれを心配そうに覗きこんでいるのは、
ゾロではなかった・・・。あぁ、そういえば展望台で・・・・・
「…アンタ、展望台で倒れちまったんだ…覚えてるか?」
ゾロの声で…あの声で、優しい言葉をかけてくれる。
声は本当に似ている、でも顔とか…心配してくれる優しいトコロとかは
似ても似つかないほどなのに、全体的な雰囲気っていうのか…
この人を取り巻く空気ってのが…アイツと同じニオイがして、不覚にも心地よいと感じてしまった。
「覚えて…ます、あの…助けてくれてありがとうございました」
柄にもなく丁寧に話しかけてしまう。
「気にするな、おれは今にも死にそうな奴を放っておけるような奴じゃねェんだ」
ハハハッと笑いながらおれの頭をくしゃくしゃっと撫でた…
まるで自分より子供を相手するような感じだった。
「あっそだちょっと待ってな。今水持ってきてやるよ、丸1日寝っぱなしで喉乾いただろ?」
男はそう言いながら水を汲みに何処かへ消えていってしまった。
部屋に一人残されたサンジはボーッと辺りを見まわした。
ここは何処なんだろう…あの男は一体誰なのか?
いろんな考えが頭を過る・・・そしてやはり一番気になるのは
仲間達のこと…たしか丸1日寝てたってあの男が言ってたよな・・・。
こんなおれのことでも…、少しは心配してくれているだろうか?
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